幸せの天秤
部屋に入ってからも、あおは何も話さない。


ここは、あたしから昨日のことを謝るべきだよね、、、。


「昨日は、、、、」


「嫌いになった?」


謝ろうとしたら、あおに言葉を遮られた。



あおを嫌いになる理由なんてあたしにはない。


あたしは首を振る。


「なんで、昨日勝手に帰ったの」


それは、、、あおと顔を会わせるのが怖かったし、
あおの彼女に申し訳ないって思ったから。



「親から連絡着て」


あんなこと言えない。

あたしは嘘を付いた。


「昨日、遅かったから心配するよな」


あおはホッとしたように言う。

「嫌われたかと思って焦ったわ、何も言わずにいなくなるし。
電話しても連絡取れないし」


彼は下を向きながら、頭をかく。

「え?」

あおはまっすぐにあたしを見る。


「俺、レンリが好きだ」

あおの言葉が信じられない。


「昨日会ったとき、キスマーク見てムカついた。
レンリも俺のこと好きだと思ってたのに、最近連絡来なくなったと思ったら、
他の男に取られたと思ったら自分のこと止められなかった」


あたしは夢でも、見ているのだろうか。

あおもあたしが好き?


「レンリ聞いてる?」

「夢かと思って、、、」


「バカな奴」と言い、あおはあたしを抱きしめる。


あおの体温が伝わってきて、現実なんだと思ったら、嬉しくなった。


「あお、、、、好き」


「知ってる」と言う、あおは余裕そうで、少しムカついた。


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