幸せの天秤
その後、少し寝て会社に向った。



「レンリ」


部長に呼ばれる。

部長はあたしのことを「レンリ」と呼んで以来
「片瀬さん」とは呼ばなくなった。

別に、そっちの方が慣れているのいいが。



「なんですか」

「お前、マリアのお迎え行け」


いきなり、出張命令される。

「アメリカまでですか?」

あたしの言葉に呆れられる。

何か間違ったことを言っただろうか。


だって、マリアならアメリカで仕事をしているはず。

「お前、マリアから聞いてないのか?
来週からこっちで仕事するから、日本に来るって昨日連絡してきたぞ」


昨日、携帯すら開いていない。

あたしはポケットに入っている携帯を開こうとしたら、電話が鳴る。


「もしもし、レンリ。昨日のメール見てないでしょ」(英語)

相手はマリアからだ。


「今、部長から聞いたところ。で、マリア今、何処?」(英語)

「レンリの会社」(英語)

「今から、下に行く」(英語)


電話を切った。
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