幸せの天秤
あおのデザインを見て、マリアはあたしを一瞬見て、何かに気付いたようだ。


「この子、今回のあたしの仕事に欲しいんだけど」(英語)

マリアは依頼書類を部長に渡す。


「こいつで、良いのか」(英語)

「レンリや東条も欲しいけど」(英語)



部長はあたしを見る。

「俺は無理だ。こっちの仕事が残ってる。
レンリの奴、お前のとこの仕事は?」(英語)

「優秀なレンリちゃんは昨日全部、終われせたわよ」(英語)

「なら、青山とレンリをつけよう」(英語)


話が進んでいく。

マリアとの仕事はしたいけど、あおとはなるべく関わりたくない。


「青山。今抱えてる案件、今週中に終わらせてこのバカ女の手伝いしろ」

「でも、あの案件はまだ手も掛けてないんですよ。今週中は厳しいかと」

「確かに、なら俺が入る。出来るところまで、進めておけ」



どうやら、話が決まってしまったようだ。

ため息が零れる。



「レンリの家に、今日から泊まるからよろしく」(英語)


マリアは上機嫌だ。

「はいはい」と軽くあしらう。


その後、マリアと部長は別室に移動した。


「レンリちゃん、今の人誰?」


2人が居なくなるなり、マリアの話題で持ちきり。



桐谷さんはあたしにマリアのことを聞いてくる。

みんなあたしの返答を待っているのか、こっちを見る。



「マリア・ブラウンって言ったらわかる?」


マリアの名前にざわつく。

「あの、マリア・ブラウン?
拠点はアメリカに置いてるも、世界中でデザインをこなしてる」


「そうだよ。あたしがアメリカで仕事してたときの上司なんだ」

「レンリちゃん、マリア・ブラウンと仕事してたの?すげ~」


桐谷さんは目を輝かせる。

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