幸せの天秤
仕事まで失ったら、誰もあたしを見てくれなくなる。

その不安が心を埋め尽くす。


助けて、、、、。


真っ暗な中に1人で残されてしまったような感覚。

呼吸が苦しくなる。


初めてのことに自分でもどうして良いかわからない。

普通に息が出来ない。


あたしは倒れこむように、しゃがみこむ。



物音に気付いたマリアが部屋にやってくる。

「レンリ?」(英語)

マリアの声は聞こえる。



「レンリ、どこか悪いの?病院に行った方が良いんじゃ」

マリアは携帯でだれかに電話しようとしていたのを、阻止する。


マリアが電話をかける相手はきっと東条部長だから。

「大、、、丈、、、、、、夫」(英語)


あたしは、それだけ答えるのが必死だった。

少し、落ち着いたところでタクシーを呼び、病院に向った。


1人で行くといったのに、マリアが心配して、付いてきた。


「はい、大丈夫ですよ。ただの過呼吸ですね。今回が初めてですか?」

先生が診断結果を言う。


「はい」

「過呼吸だからって、甘く考えないで下さいね。」

先生は紙袋を渡した。


「あの、これってなんですか」

「苦しくなったら、紙袋を口にあてて、ゆっくり呼吸して下さい」


あたしは、手の中にある紙袋を眺める。






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