幸せの天秤
逃げても何も変わらないということなのだろうか。

そんなのわかってたはずなのに、、、、。


あたしにとってあおは、生きるために空気の様な存在だった。

だから空気を奪われたあたしは、生きて行くすべがわからなかった。


アメリカにいた時だって、あおを思い出そうとはしなかった。

思い出すということは、あおとの終わりを意味したから。

別れを告げたのはあたしなのに、、、

なのにあたしはあおにすがって生きていたんだ。



涙が零れるのを、止められなかった。

子供のように、泣きじゃくる、、、。

こんなに苦しいことなんだ、恋の終わりって。


今まであたしはどんな恋をしてきたんだろう。

相手を利用して、あおの代用品としてしか見ていなかったんだ。


あたしは最低だ、、、。


自業自得なのかもしれない。



「溜め込み過ぎてたみたいだね。
人間は自分が思うよりは強くないから、溜まったら、吐き出さないと壊れてしまう」


先生はあたしの頭を優しく撫でる。


「あたしは、前に進めますか」

進みたくなんかない。

何も知らなくて、ただあおとの時間を愛おしいと思えてた、過去に戻りたい。


でもこのままで居たら、あたしは落ちるとこまで落ちて、今度こそ這い上がれなくなる。


「大丈夫だよ。一緒に頑張ろう」


先生は優しく笑った。


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