幸せの天秤
「レンリ、遅かったね」(英語)


家に着くと、マリアが言う。

「ちょっと、寄るところ合ったから」(英語)

「そう。今回のデザインこれで行こうと思うんだ」(英語)


マリアは今さっきまで、向かい合っていたであろう
ノートパソコンをあたしに見せる。


相変わらず、凄いと思わされるマリアのデザイン。

「良いと思う」(英語)

「やっぱり?青山のアイディアが意外と面白いのよ。
あたしじゃ、発想も出ないような」(英語)


確かにいつもマリアのデザインとは少し違うような気がする。

「レンリや東条以外に、久しぶりに仕事してて楽しいと思えたわ」(英語)


それはマリアのデザインを見てても伝わってくる。

きっと、形にしたくてうずうずしているのだろう。

あたしだって、早く完成図を見てみたいと思った。


だけど、デザインに自分も参加しているのに、
あたしは自分がいるようには思えなかった。


「、、、、良かったね」(英語)


あたしは素っ気ない態度を取ってしまった。

マリアは何も悪くないのに、、、。


「レン、、、リ、、、」(英語)

マリアがあたしの名前を読んだのに、気づいたのに何も答えなかった。


あたしの中、どす黒い何かが心を支配する。

何で素直に、マリアに接することができないんだろう。


あれはマリアの努力で作り出したもの。

あたしには到底及ばない、、、。



別に比べる必要なんかないのに、、、。


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