幸せの天秤
「マリアの奴、心配してたぞ。レンリが変だって」

「あたし、変ですか」

マリアに発作のことがバレたのかと、焦る。


「最近のレンリは少し変かもな。なんて言うか、人を寄せ付けないというか」

そんな風に見られていなんて、思いもしなかった。


「最近、仕事も手が回らなくなってるようだし」

確かに、発作が起こるようになってから仕事を余すようになっているのは事実だ。

「すいません」

「別に謝るようなことじゃねぇよ。他の奴らより、仕事はこなしてるからな。
ただ、アメリカの時に比べてってことだ」

日本に戻って来るべきじゃなかった、ってことなのだろうか。

あたしは部長の期待を裏切ってしまった、、、。


「頑張ります。あたしには仕事しかないですから」


そうだ、あたしには仕事しかないんだ。


何度自分に言い聞かせてきだろう。

「無理はするなよ」


「はい」

はいとは言ったものの、無理をしなければ自分の存在価値すらなくなってしまう。

あたしの中で、焦りばかりが大きくなっていく。




「レンリ、これからマリアのクライアントのところだろ。
青山は準備出来てるみたいだから、良いところで区切りつけろ」

部長に言われるまで、忘れていた。

急いで準備をして、あおとクライアントのところに向った。
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