幸せの天秤
あおと2人で歩くなんていつ振りだろう。
「マリアさんのデザイン見た?」
向っている途中、あおに聞かれる。
「うん。マリアもあおのこと褒めてたよ」
昨日のデザインを思い出す。
「レンリはどう思った」
あおはあたしの意見を求める。
あたしも凄いと思った。
あおとマリアの作品を見て嫉妬までした。
あたしにはきっと作れないから、、、。
「早く形になったのを見てみたいと思った」
嘘じゃない。
だけど、素直にあおを応援できない。
「俺も早く、形にしたいと思った。こんな気持ちになったの久々なんだ」
嬉しそうに笑うあおの顔が見れなった。
あおから顔を背けたせいで、あおが身に付けている、指輪が目に入る。
その指輪はあたしにとって、一番見たくないものだ。
あおの幸せを願って離れたくせに、
他の人にあの好きだった笑顔を向けているんだと思ったら、胸が張り裂けそうになる。
なんで、あたしじゃないの、、、。
そんなことを思ってしまう、あたしホントにバカだ。
「幸せ、、、なんだね」
自然とそんな言葉がでる。