幸せの天秤
何も答えないあたしに、電話越しにマリアのため息が聞こえた。

呆れられてしまったのだろうか。

「レンリ、まだ仕事中でしょ?仕事しなさい。
電話で決められる話じゃないから、今夜ゆっくり話しましょ」(英語)


何を話すんだろう。

マリアはあたしが逃げ出そうとしていることに、気付いているのかもしれない。





とりあえず、マリアに言われた通り、会社に戻り仕事をこなす。

ちゃんと仕事をこなせていたか、わからない。

けど、いつもより時間が過ぎるのがとても長く感じた。


定時の時間になり、あたしは急いで家に帰る。

中に入ると、マリアは帰ってきていて「おかえり」(英語)と言ってくれた。


あたしは着替えもしないで、マリアの目の座る。




「急にどうして、アメリカに戻りたいの」(英語)

マリアはあたしが話したいことがわかったのか、自分から話を始めた。

「昼間に言ったように、マリアのところでもう一度勉強したいと思ったから」(英語)

「何かあったから、また逃げるためにアメリカに帰るなんて言ってるんじゃないの」(英語)


やっぱり、マリアは気付いていたんだ。


「最近のレンリ、変だよ。話せないなら、連れては行けない」(英語)

あたしがマリアでも、そう言うだろう。

勝手に決めて日本に来た癖に、
何も話さないで受け入れてもらおうなんて、ホント都合が良すぎる。


「レンリが戻って来てくれるのは、嬉しいわ。
ただ、逃げるてるだけじゃ、いつまで経ってもレンリは変われない」(英語)

あたしだって、ちゃんと向き合いたい。

あおとだって、自分自身とだって、、、、。

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