幸せの天秤
あたしは誰にも気付かれないように、給湯室に向おうとしたら部長に呼ばれる。

「レンリ」


今ほど、自分の名前を嫌だと思ったことはない。

レンリだなんて、珍しい名前に、、、。


「なんでしょうか」


あたしは振り返らずに答える。


「青山の今回の案件にお前も参加しろ」

「いやいやいや!!あたしは参加しない方がいいと思うですけど、、、」


あたしは慌てて断ろうと思い、振り返ってしまった。


そのせいで、ひよりちゃんと目が合う。

「何言ってんだ?こいつ、青山の妹で、元この部署で働いてた奴だ」


そんなの紹介されなくても、あたしはひよりちゃんのこと知ってます。


案の定、ひよりちゃんはあたしに気付いたようで顔を顰める。


「なんで、ここにいるのよ!!!!」


さっきまで、楽しそうに話していたひよりちゃんとはうって変わり怒っている。


ひよりちゃんの様子にみんな、驚いている。


「お兄ちゃん知ってたの」

「知ってたも何も、一緒に仕事してるしな」

あおは慌てた様子もなく、答える。


「信じらんない。部長、あの人クビにして下さい」

大好きなお兄ちゃんにではなく、怒りの矛先は部長に向った。


「ひより、ここは仕事場だ。辞めたお前が口出すな。レンリはちゃんと仕事はしてるし。
お前に辞めろなんて言われる筋合いはない」

ひよりちゃんは、あおに言われたことで尚更ご立腹になってあたしの方へ歩いてくる。

< 73 / 249 >

この作品をシェア

pagetop