幸せの天秤
トイレに入ると、運がわることに青山班の女の子たちがいる。

あたしが入って来たことに気付き、こないだ殴られた女があたしの前にくる。


「青山のこと、まだ好きなわけ」

「あなたに何か関係あるんですか」


あたしとあおの関係に、入ってきて欲しくなんかない。

何も、知らないくせに、、、。


「そっか。あんた知らないみたいだから、教えてあげる」


彼女は何故か、勝ち誇ったような顔をする。


「あんたでも無駄よ。青山にはちゃんと大切な人がいるんだから。
青山のこと好きな子たちが何度アタックしても見向きもしないんだから」


そんなこと言われなくたってわかってる。

だけど、人から言われると大丈夫だと思っていたのに、落ちる自分がいる。


「残念だったわね。まぁ、あんたから捨てたんだから自業自得って奴よね」

彼女は笑った。



別にあおとヨリを戻すために日本に来たわけじゃ、、、。

本当にそうなのだろうか?

心のどこかで、あおはまだ1人でいるんじゃないかって期待してた。

あたしがあおを想っているように、あおにも想われたいって。


彼女たちはいつの間にかいなくなっていて、
あたしは顔を冷やすために来たのにそんなことを忘れて、ただ立ち尽くす。


鏡の中にいる自分が自嘲的に笑っていてる。



「何を期待してたの。最初からあおの目にあたしが映ってるわけないのに」

そう、鏡の中の自分が言う。


わかってる、、、。


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