芸術的なカレシ





「結婚式には、拓史と二人で来てね」



にっこりと微笑む、目の前のナンダカンダ新婦。



「オーマイ、ガ!!」



私は下手な英語と共に、お団子頭を抱える。

なんてこと。
私達が夫婦になる前に、明日香の結婚式に出ることになるなんて。



「一番結婚から遠い女は、案外、瑞季だったりして。
ふふふ」



いや、冗談になりません、明日香さん。
そして、笑うところでもありません。
私には、深刻な問題なのです。


それから私達は、下らないお喋りと共にコーヒーと紅茶、それからパンケーキとクレープを消費して、近い内に拓とフレディも交えて食事をする約束をして別れた。

プリンプリンと、形のいいお尻を振って歩く明日香の後ろ姿を見送りながら、私は心底羨ましい気持ちになる。

これからの人生を、互いに支え合うことのできる相手がいるということ。
それが結婚という形をもって、家族や友人、世間でも認められ、示されるということ。
堂々と、誰かのものでいられる安心感。
そう、例え、その相手が、ゲイであったとしても。
……私は嫌だけど。






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