芸術的なカレシ
ぐびぐびぐびっとお冷やを飲み干して、カツオくんは満面の笑み。
……えーっと。
話がよくわからない上に、別れた男とベストカップルだなんて、微妙すぎて突っ込みどころ満載なんですけど。
「いや、あの……」
「おまたせしましたー」
絶妙なタイミングで、店員がビールとソーセージ盛り合わせを持ってくる。
「うまそうっすね!」
「カツオくんも飲む?」
「や、僕は帰ったら、やることいっぱいあるんで!」
「じゃあソーセージ、はい」
「わーい!
ありがとうございます!
うおー、すげー腹へってたー!」
むしゃむしゃとソーセージを頬張るカツオくん。
何だか、よその飼い犬に餌をあげているような気分。
「あの、さ。
で、言いにくいんだけど、私達、別れたのよね」
「あー、みたいっすね!」
「え? 知ってるの?」
「たっさんから聞きましたよ!
でも、僕はそんなの認めませんから!」
認めない、と言われても。
「僕、たっさんから瑞季さんの話きいてて、いつもカンドーしてたんす!
そんな二人が別れるなんて、悲しすぎます」
「うん、でも……」
「瑞季さん、僕がいつもビーサンなの、何でか分かります?」
私が良いかけるのを遮って、カツオくんは上目使い。
「はっ?」
いやいや、話が飛びすぎて、頭がついていけないですけど。
「おまたせしましたー」
そこに、カツオくんのハンバーグセットが運ばれてくる。