芸術的なカレシ






荘厳な雰囲気の扉を開けると、ガラス張りの広いエントランスホールに出た。
緑でいっぱいの中庭が見えるようになっている。

中央の大きな花瓶が目を引いた。
そこに豪華だけれど上品に生けられた、名前も知らないピンクや白の花々。

それを取り囲むように、高級そうな花柄のソファーとテーブルが並んでいる。
足元はふかふかの絨毯。
何だか踏むのが申し訳ないみたい。

内装は白を基調にしていてとても上品。
やっぱり、いざ中に入ってみると、この別世界ぶりにうっとりしてしまう。


二日酔い?
そんなこともいつの間にか忘れてしまいそうだわ。


ここで待ってて、と私に言い残して、こうくんは受付へ。
しばらくして、綺麗な女の人と一緒に現れた。


案内されたのは、奥のスペース。
こちらは一変してシンプルな木の雰囲気。
ドレスやブーケ、引き出物や食事メニューのサンプルが飾ってある。

きっとここで、幸せなカップル達は打ち合わせを重ねていくのだろう。
私達の他に、5組くらいのカップルが各々にテーブルを囲んでいた。


綺麗で清潔感のある式場スタッフの女性は、丁寧に自己紹介をした後、パンフレットを開いて色々と説明してくれた。
こうくんはそれに一々相槌を打って、時々質問したりしている。
私はまだ上の空で、ふわふわした気持ちで飾られた純白のウエディングドレスを見ていた。





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