芸術的なカレシ
それから?
バカなんだと思う。
本当に、生粋のバカなんだと思う。
私達二人は。
あれから私達は手を繋いだまま、私のマンションまで歩いて帰った。
私はさすがにコートを着たけど、拓はつなぎのままで。
二時間ほど歩いてマンションにつく頃には、拓の鼻水はズルズルだった。
雪崩れ込むようにしてリビングのソファーで抱き合って。
エアコンが稼働しきらない内から服を脱いで。
裸で抱き合ってたら暖かいだろ、とかなんとか言いながら、バカみたいにセックスをして。3回もやって。
さすがに服は着たけどそのまま朝まで眠った。
久しぶりに拓の腕の中で眠った私は。
久しぶりのセックスのせいで興奮していたのかいつまでも眠れなくて。
寝かけて寒気がしては、何度も目を覚ました。
朝起きたら、拓の体も熱い。
私もダルさで起き上がれない。
3回も頑張っちゃったからかなーなんて拓がバカなことを言ってたけど。
熱を計ったら二人とも38度を越えてて。
出勤予定だった母親まで、仕事を休ませるはめになってしまった。
それから二人で3日間寝込んだ。
拓と別れた時と同じ様に、私は工場を2日も休んで。
社長やユリエさんに、またいらない心配をかけてしまった。