おいしいみるくのつくりかた!
「ねえ、ハル」
「どうしたの、陽子」
「私たちが出会った日のこと、憶えてる?」
「もちろん」

陽子とハルは、数年前の春の日差しに思いを馳せた。

あの時もちょうど、桜が咲いていたっけ。
私は公園でびーびー泣いていて、ハルは木の上から話しかけてきたんだったね。
あの時は驚いたよ。
そう?俺は真昼間に公園で号泣する女の子に驚いたけど。
やだ、やめてよ。

他愛もない会話が、じんわりと体を、心を温めていく。
ひとしきり話し終えてから、ハルが席を立った。


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