恋するイフリート
「葵ちゃん…あなた、取り返しのつかない事しました…」
えっ!?まさか、またあの話に戻るのっ!?
良運の波には乗り切れなかったのか…
「あなた…コーランひらいた…」
葵は美里の方をチラッと盗み見た。
案の定凄い形相で睨んでいる…
終わった……
「そのコーラン、決してあけてはならないもの」
うん…。
それは昼間聞いていました。
それを破ったのは私です…。
「そのコーラン、わたしのせんぞ、魔人イフリートふういんしてた」
ですよね…ですよね?
私が悪うございます…。
「へ?」
今なんと?
「イフリート、とてもきけん…」
はい?
益々アシュラフの言ってる意味が解らない。
今まで、口を閉ざしていたイフリートが
突如不敵な笑みを浮かべる…
「……ふふふ…ふははははっ!!
カーリフーっ!ここで会ったが千年目!
今こそ、あの時の借りを返してやるっ!!!」
イフリートの真っ黒な闇色の瞳が紅く染まった。
「風よ吹けーっ!!嵐を呼べっ!!
炎よ、カリフを燃やし尽くせーっ!!」
「……………」
「……………」
「……………」
三人の視線が一斉にイフリートに集まる。
「………あれ?」
どうしたというのか…この男は…
格好だけでなく、頭までおかしいのか?
「雷神よっ!雨雲を呼び、稲妻を落とせーっ!!」
…まだおかしな事を叫んでいる。
「…何故だ…何故何も起きない!?」
そして一人で頭を抱え悲観にくれだした。