恋するイフリート

「…ふふふ。葵さん、良い質問ですね」



「おいっ!こらっ!!カリフ!!

 その前に俺の質問に答えろっ!!」


騒ぎだすイフリートをその冷たい瞳で一喝する。


「…うるさいですねぇ…。

 あなたは少し黙っていなさい!」


そう言ってイフリートを睨んだ。

睨んだだけなのに……


「……ぐがっ!?」


奇声を上げイフリートが

目で見えない何かに縛られたように

その身を強張らせる。


「………」


それを目の当たりにした葵は青ざめる…。

美里は……

何やら瞳を輝かせている…。


似た者親子だが、若干、反応の違いはあるようだ。


「…さて、では、お話の続きをしましょうか…」


再び葵と美里に笑顔で向き直ったカリフだが…

葵は何処かその人物に恐怖を感じていた…


『この、ひしひしと伝わる、威圧感…

 誰かと似ているような……』


う~ん、と頭を抱えてみるが、すぐには思い浮かばない。

その一方でカリフは話を進める。


「実は……

 私は思念体なのです。

 私の身体は、そのイフリートが言うように
 
 もう1000年程前に滅びました…。

 私は再びそのコーランが開かれる時、

 後の者が困らぬよう、思念体として

 それを見届けるよう細工を施しました」

 
「って事は幽霊っ!?」


葵が声を上げる。


「う~ん、まぁ、それに近い存在ですかね。

 ここから本題です!」


カリフが人差指を立てる。


「私は、そのイフリートを封印する時、

 まじないをかけました」


その言葉にすかさずイフリートが反応する。


「呪いだろうがよっ!」



「おだまりなさいっ!」


再びイフリートを一睨み。


「…ぐがっ…!!」



ーーーなんだか

…ちょっと面白い…。


「イフリートにかけたまじない…

 それは…再びこのコーランを開いた人間を幸せにする事…」


コーランを開いた人間…??


あ…なんだか、すんごく嫌な予感がする…。


葵は本能的にカリフから視線を反らす。


「葵さん…。あなたの事ですよ!」


ーーーーやっぱりかあああぁーーーーー





 
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