clover's mind
 俺がそういうと彼女は座り込んで落としていた視線を顔だけ俺のほうに向け、不思議そうな顔をしてこういった。

「嬉しくない? 四つ葉のクローバーみつかったら」

 考えたことがない。

 そもそもそんな少女じみたことなんて俺には無縁のことだ。

 どう答えればいいのかと頭をひねっていると、不意に彼女は立ち上がり、

「帰る」

 といってスカートのすそを軽く払って土手を上り始めた。

「お、おい」

 なんなんだよ、人をいきなり引っ張ったかと思えばろくに探しもせずに帰るのかよ。

 彼女は先に土手を上がると俺の方を振り返り、しゃがみこんで片手の平を上にして“おいでおいで”をしてきた。

 犬か、俺は。
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