clover's mind
「14番と5番あがり、7番に」

「はい……4番に22番ひとつです」

「おう。8番にブレンド」

「はい……2番おあいそします」

「あいよ。草太そのあと3番さん用のカフェ・オレひとつ」

 人間なれてくると別々のことでも案外平行して進められるもので、それは例えるならピアノのよう。

 片手ごと別々の動きをさせるのは素人にはとても難しくてついついつられて同じような動きをしてしまう。

 けれど練習を重ね、なれてくるとまるで別々の身体のようにそれぞれのすべき仕事をこなす。

 今の俺もそのようなものだな。

 マスターほど極上の旋律は奏でられないかもしれないがね。

 とはいえ。

 コンクールで優勝に絡むくらいの旋律は奏でられるつもりじゃぁあるよ?

 これでも、ね。



 なんてな。

 会計を済ませてくるりと振り返るその流れのままカフェ・オレ用のグラスとミルクを取り出して順序良く、手際よく淹れていく俺。

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