clover's mind
「え? えぇ、まぁそうですけど……よく、わかりましたね」

 どうしてお母様はこんなにお見通しなのだろう?

 ゆっくりと姿勢を元に戻しながら俺は怪訝に思った。

「携帯を、ね。むずかしそうな顔をしてにらみつけてたのよ」

「?」

 お母様の話によると、少し前にまゆみが居間のソファの上に正座をしてローテーブルに置いた携帯とじぃっ、とにらめっこをしていたのだそうな。

「どうしたの? ってきいたらあのコ『鳴るわけないのよねぇ』って返すものだから、てっきり携帯が壊れたのかと思ったのだけれど……」

 そういうわけではなかったらしい。

 お母様はそのときのことを、ときどきくすくすと笑みをはさみながら話してくれた。


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