clover's mind
 マスター。

 あなたはとんでもないタイミングで俺をここに派遣させちまったみたいです。

 恋のプロフェッショナルとやらがいたらこの場をどうやって切り抜けるんだろうな。

 今度探し出して御教授願っておくとしよう。

 なぁに、耳にすることはあるんだ。

 どこぞのなんたらとかいう探し人の番組にでも葉書を送りつけてみりゃ一個小隊でも組めそうなほど探し出してくれるに違いない。

 もちろん依頼理由の切り出しは、

「僕の“友人”が恋で悩んでまして……」

 という台詞で。

「あ~でもホラ、たで食う虫も好きずきっていうだろ?」

「それ、フォローのつもり?」

 フォローといいますか、遠回しに「そんなキミでも好きだよ」といってるんですけど……伝わらないか、やっぱ。

 どうしたものやら。

 お互いに向かい合ったまま意味もなく時間がすぎる。

 沈黙の天使も大忙しだ。

 俺と彼女の間をいったりきたり。

 いいかげん疲れてどっかいってくれないもんかね?

< 39 / 203 >

この作品をシェア

pagetop