clover's mind
 そもそも俺はあいつのどんなとこが好きなんだろう。

 いやいや、好きになることに理由なんていらないとはいったけどね、好きでい続けているにはそれなりに理由みたいなもんがあるのさ。

 ほら、あぁこういうとこが可愛いなとか、あ、ここがチャーミングだとかさ。

 俺の場合はなんなんだろうな。

 そんなことをふと思った。

「いってぇ……」

 珈琲を口に運ぶと思いの外熱くてちょっと舌がやけどしちまった。

 針でちまちまつついているような痛みが散漫な意識を刺激して、ぼんやりとしたイメージをはっきりとさせていく。

 可愛さだとか魅力というのは外見から感じるものじゃぁない。

 それは仕草だったり、考え方からくるものの比重の方が大きいものだ。

 つまりはそこがどれだけ自分にとって“ツボ”か、ということ。

 ふむ。

 あいつのいいところ、か……。

 まぁまずは飽きないとこだろうな。

 いっつも俺の予想しないことをやらかして楽しませてくれる。

 たとえばそうだな。
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