clover's mind
五話 ダイナマイトクッキング
◇姫来訪
間抜けも度を過ぎると呆れるどころか案外笑えてくるもんだ。
「っぇっくしゅぉい!」
まぁつまるところ風邪をひいちまったんだな。
別に雨漏りしてた覚えはないんだがいつの間にかできていた──もしくは今気付いた──壁のシミをぼんやりと、いや朦朧として眺める。
せっかくの決心やらきっかけやらをてめぇの不注意で逃しちまってたんじゃぁ世話がない。
なんだろう、頬のあたりが冷たいなぁ。
うぅ……。
しょっぱい涙はほてった頬にここちよくはあるけれど、体温を下げるにはいたらない。
本当ならタオルかなにかを濡らして頭にのっけて冷やすのがいいんだろうが、熱のせいか身体に力が入りゃしない。
それに濡らしたやつをしぼってもきちんと水がきれるかどうかが問題だ。
へたすりゃ枕元から布団からびしょぬれになって余計に具合が悪くなるとも考えられる。
まぁそもそも。
起き上がること、それ自体がもうすでにおっくうだ。
バイトに関しちゃマスターにさっき連絡しておいたからとりあえずはオーケー。
申し訳ないが。
それよりも参ったのは──視線を身体ごと横に向けるとそこには机と、その上のなんの飾り気もへったくれもないグラスにちょん、と入った一輪のクローバー。
悲劇の主人公てのに憧れたこともあったけどもさ、なるもんじゃねぇな。
「っぇっくしゅぉい!」
まぁつまるところ風邪をひいちまったんだな。
別に雨漏りしてた覚えはないんだがいつの間にかできていた──もしくは今気付いた──壁のシミをぼんやりと、いや朦朧として眺める。
せっかくの決心やらきっかけやらをてめぇの不注意で逃しちまってたんじゃぁ世話がない。
なんだろう、頬のあたりが冷たいなぁ。
うぅ……。
しょっぱい涙はほてった頬にここちよくはあるけれど、体温を下げるにはいたらない。
本当ならタオルかなにかを濡らして頭にのっけて冷やすのがいいんだろうが、熱のせいか身体に力が入りゃしない。
それに濡らしたやつをしぼってもきちんと水がきれるかどうかが問題だ。
へたすりゃ枕元から布団からびしょぬれになって余計に具合が悪くなるとも考えられる。
まぁそもそも。
起き上がること、それ自体がもうすでにおっくうだ。
バイトに関しちゃマスターにさっき連絡しておいたからとりあえずはオーケー。
申し訳ないが。
それよりも参ったのは──視線を身体ごと横に向けるとそこには机と、その上のなんの飾り気もへったくれもないグラスにちょん、と入った一輪のクローバー。
悲劇の主人公てのに憧れたこともあったけどもさ、なるもんじゃねぇな。