clover's mind
 それから俺は数十分かけてなんとか粥(らしきもの)を食べきった。

 近年一番頑張ったと思う。

 耳のつけ根と顎間接の交わるところあたりがやけにきゅぅきゅぅしているのはきっと大量の塩分のおかげだろう。

 のどの奥は塩っ辛さを通り越してなんだかひりひりするというかいがいがするというか、とにかくこれまで味わったことのない感覚に襲われている。

 途中三杯くらいは水を飲んだがそれでもどうやら足りなかったらしい。

 こいつは本格的に料理というものを教えてやらねばならんなぁ……。

 食材が(大量に)無駄になるのは避けられないが、こっちの命にもかかわるからな。

 うん、そうしよう。

「ご、ごちそうさまでした」

 うなだれるようにして頭を垂れて合掌をする。

 その一瞬の間に心の中でどうやって残りを処分しようかと脳みそをフル回転させようとしたもののクラクラするだけで一向に思考は働いてくれやしない。

「さ、食事をすませたらあとはゆっくり寝てなさいよ?

 後片付けはちゃ~んとしておいてあげるから」

「そうさせてもらうよ」

 胸の内で「是非」という言葉をつけ加える。

 正直身体を起こしておくのがつらくってしようがなくなってきたところだった。

 これ以上何かの物体を製造しないのであれば後はいつもやってることだからな。

 最近じゃ食器を割ることはなくなったし。
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