clover's mind
きつく服をにぎっていた手の力をゆるめ、軽く目を閉じて大きく深呼吸をする。
覚悟を決めるとか、そんな大層なもんじゃない。
ただ、俺はスタートラインにすら立とうとしていなかった。
ゴールまでどのコースを走ろうか、そればかりを考えていただけのことなのだ。
そうやって、いかにも自分は“前向きに分析している”と、そう思い込んでいただけ。
つまりベンチから、安全地帯から出ようとしていなかったんだ。
そりゃ、夢の中ですら告白することなんてできるはずも、ない。
気付けば呼吸は整っていた。
そしてもう一度深呼吸をする俺。
するとさっきまでの激しい感情のたかぶりがすっ、と引いていった。
ゆっくりと目を開けるとまだ視界はかすんだままだったけれど、なぜだか今ならこの夢の中のまゆみに伝えられる気がした。
もし、ここで伝えることができたなら、現実の彼女にも伝えよう。
今ここが、俺のスタートライン。
そうさ、あの四つ葉を持って。
「好きだ……」
「……え?」
俺を見下ろす彼女が不意をつかれたような声を上げる。
覚悟を決めるとか、そんな大層なもんじゃない。
ただ、俺はスタートラインにすら立とうとしていなかった。
ゴールまでどのコースを走ろうか、そればかりを考えていただけのことなのだ。
そうやって、いかにも自分は“前向きに分析している”と、そう思い込んでいただけ。
つまりベンチから、安全地帯から出ようとしていなかったんだ。
そりゃ、夢の中ですら告白することなんてできるはずも、ない。
気付けば呼吸は整っていた。
そしてもう一度深呼吸をする俺。
するとさっきまでの激しい感情のたかぶりがすっ、と引いていった。
ゆっくりと目を開けるとまだ視界はかすんだままだったけれど、なぜだか今ならこの夢の中のまゆみに伝えられる気がした。
もし、ここで伝えることができたなら、現実の彼女にも伝えよう。
今ここが、俺のスタートライン。
そうさ、あの四つ葉を持って。
「好きだ……」
「……え?」
俺を見下ろす彼女が不意をつかれたような声を上げる。