clover's mind
七話 三年顎とグーパンチ
◇マディラ・シトリン
一歩足を出すたびに冷や汗がたらりたらりと流れてるような感覚が背中に走って気持ちが悪いことこの上ない。
いやまぁ実際にゃ汗は流れてやしないわけだけれども、とにかくそのくらい緊張してるってことだ。
「はぁ……」
あと1キロも愛車をこげばバイト先に着く。
初めは休みにでもしようかと往生際の悪いことを考えちゃいたんだが、うちのマスターのことだ、そんなもんは最初の「すんません、今日」のひと言をいった時点で見抜かれて却下されちまうことだろう。
そういう人なのだ。
そういえば──と、不意に店員としてカウンターの中に初めて入った頃のことを思い出す。
いやまぁ実際にゃ汗は流れてやしないわけだけれども、とにかくそのくらい緊張してるってことだ。
「はぁ……」
あと1キロも愛車をこげばバイト先に着く。
初めは休みにでもしようかと往生際の悪いことを考えちゃいたんだが、うちのマスターのことだ、そんなもんは最初の「すんません、今日」のひと言をいった時点で見抜かれて却下されちまうことだろう。
そういう人なのだ。
そういえば──と、不意に店員としてカウンターの中に初めて入った頃のことを思い出す。