名無しの恋愛


「いい感じだね」


「あ、ありがとうございましたっ」


すっかり調子の良くなった楽器を抱いて、お辞儀をする。


「いやいや。そういえば、さっき屋上で吹いてたのはキミなのかな?」




恥ずかしい…

まさか自分の音を聞かれてたなんて…


「そうです…すいませんっあの…下手ですよね!あんな変な演奏聴かされても困りますよねっ!ごめんなさいっ」






自分の下手な演奏を聴いていたなんて…無性に恥ずかしくなった。

楽器屋さんに聴かせたくなかった。



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