名無しの恋愛
門が閉まろうとする寸前で学校を出た私たち。
「ユウリじゃないの。そちらの方は?」
気づいたら顧問の先生が鍵を閉めようとしていた。
そちらの方っていうと…
「あ、今度から来てくれる楽器屋さんだそうですっ」
私は楽器屋さんの手を離して、先生に紹介した。
無意識に手を掴んでいたなんて…恥ずかしい。
「先生初めまして。水野楽器の佐久矢です。よろしくお願いします」
礼儀よく頭を下げる楽器屋さん。
「あら。こちらこそ。ユウリ、早く帰りなさい」
「はいっ!さよなら先生!」