名無しの恋愛
*°゚。。*°゚。。*
「ユウリさん?だっけ」
「はいっ」
帰り道。
駅へ向かう道は真っ暗で、楽器屋の佐久矢さんに送ってもらうことになった。
「ユウリさんの…名字は?」
「えっと…和泉です。和泉侑李です」
“わいずみ”じゃなくて、“いずみ”ですからね。
「和泉侑李………侑李…」
じっと考え込んで、俯く佐久矢さん。
ぶつぶつ念仏みたいに唱えているのが、私の名前だとわかって、顔が赤くなる。
暗くて良かったと思った瞬間だった。