チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
……………
宮川さんが連れてきてくれた所は、高校生のあたしなんかが簡単に入れない様な高級感漂うレストランだった。ドキドキしながら足を踏み入れる。一応おしゃれしといてよかった。
「んー…コースでいいか。亜弥ちゃん、お酒は?」
「あ、はい。何でも…」
「じゃあこの、赤ワインで」
てきぱきと注文をする宮川さん。お店の人が去った後、「そういや亜弥ちゃんまだ10代か」と悪戯そうに笑った。
「未成年にお酒勧めるなんてダメな大人ね。こんな大人になっちゃダメよ」
…料理が運ばれてきて、ワインを飲みながらそれを食べる。
マナーなんてわからないから、宮川さんの見よう見まねで。
そんなあたしを見て、宮川さんは可笑しそうに笑っていた。
でも料理もお酒も凄く美味しくて、冗談抜きでこんなに美味しいものは生まれて初めて食べたと思った。
そう言うと宮川さんは、「連れてきたかいがあったな」と嬉しそうに笑った。
やがてデザートが運ばれてきて、あたし達はゆっくりとそれを口に運んでいた。
穏やかな時間。
そんな時、ふいに宮川さんが口を開いた。