チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
足の力が抜けた。思わずへたりこむ。
次第に増えるノック音。
頭がおかしくなりそう。体が震える。
怖い。やだ、誰か助けて。
「やめて…やめてよっ!!」
思わず叫んだ。両手で頭を抱えて歯を食いしばる。
ふいに、ノック音が止んだ。目を開ける。
ゆっくりと、体を起こした。目の前にあるのはドア一枚。
再び静寂が訪れた。孤独はない。誰かがこのドアの向こうから見てる気がして。
しばらくそのままでいた。どう動けばいいのかわからなかったから。
その時、カサッという紙の擦れる音が響いた。同時に、ドアの下から薄い紙が顔を覗かせる。
ゴクンと、唾を飲んだ。心臓のスピードは変わらない。
ドアの向こうの誰かの足音が遠ざかった。コツ、コツ、コツ。ヒールの音。
それが完全に聞こえなくなってから、あたしはようやく息ができた。
震える手で、その紙を取る。
…何?
『オイツメテヤル』
「やっ…!」
思わず投げ捨てた。視界が滲む。目の前で紙がひらひらと舞った。