チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
しばらくマモルの呼吸を聞いていた。
耳をすまして、あたしもその呼吸に合わせる。
ゆっくり、ゆっくり。だんだんと、涙は止まっていった。
落ち着く。安心する。こんなに遠いのに、マモルはいつも側にいるから。
「…もう、大丈夫。いきなりごめんね?」
『いいよ。そんなこと気にする間柄じゃないだろ?』
「あたし…マモルに、依存しすぎだね」
ヤバいよね。笑って、言った。乾いた笑いだった。
「ほんと…ごめんね、マモル。こんな、いつも…いい加減、うざいよね。会ったこともないのに…」
『チェリ』
自傷的に呟くあたしを、マモルが制した。
『そんな寂しいこと、言わないで』
寂しいマモルの声。胸が締め付けられる。
『俺はそんな、迷惑だとか一度も思ったことないよ。俺は…誰かのためとか、支えとか、そういう風にはなれないから。いつも…支えられる側だから。だから…チェリが頼ってくれて、嬉しい』
マモルの声はどこか遠く、そしてどこか、悲しい。
『チェリはいつも、俺を生かしてくれるんだ。俺の存在理由をいつも…示してくれる』
だから、依存してるって言うのなら、俺の方だよ。そう言うマモルは、いつもの優しいマモルだった。