チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
「ホントに…?」
『ホントに』
「あたしなんかが…マモルの支えに、なれてるの?」
『なれてるよ。チェリがいてくれなかったら多分、俺、崩れてた』

あたしもそう。続けて言った。

マモルがいなかったらあたし、多分、崩れてた。

どうしようもできない暗くてじめじめしてて気持ち悪い、あたしの一番汚い部分を、マモルはいつも浄化してくれるから。

その分マモルに何か与えてあげたかった。
でもいつも何もあげれなかった。

してもらうばっかりで、何をしてあげればいいのかなんて何一つわからない。

それでもマモルは言ってくれた。"存在理由"だと、あの、優しい声で。

『ギブアンドテイクだよ』
「ギブアンドテイク?」
『そう。俺達の関係は、ギブアンドテイク。"テイク"はいつも気付くけど、きっと"ギブ"は気付かない内にやってるんだと思うよ。それがきっと、お互いを支えてる』

だから大丈夫だよ。マモルの声は、確実に"ギブ"だった。あたしにとっての"テイク"。いつも、優しさを与えてくれる。

大丈夫だよ。マモルの呪文は、あたしの側にいつもいた。

…その日あたしは、マモルと繋がったまま、眠りについた。

誰かの側で眠るのって、こんなに安心できるんだ。
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