チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
…する事もないので、ただ街を歩いた。
体はそんなに辛くない。あんな市販の風邪薬でも効くんだな。
いくら弱っていても、もう立ち上がれないと感じても、それでもこうやってあたしの中で免疫力が出来ていって。
そうやって繰り返す事に、何か意味はあるのだろうか。
強くなってる実感なんか、微塵もないのに。
なんとなく援助交際でもらったお金を使いきりたくて、あたしは服を買い漁った。
そんなにお金が残っていたわけじゃないから沢山買えたわけじゃないけど、あの薄っぺらいお札達はあたしを着飾る服やカバンに形を変えていく。
形は変わっても、中身は何一つ変わらない。服も、カバンも、みんな薄っぺらい。
虚しくなって、買うのをやめた。
残りのお札はみんな、コンビニの募金箱に突っ込む。
店員さんが、驚いた目であたしを見ているのがわかった。
何だか妙に気まずくなり、レジの横に並んでいたチロルチョコをひとつ買う。さっき募金箱に入れたお金とは天と地程の差額。
あたしにはこれくらいが丁度いいんだ。
口に含んだチロルチョコは、びっくりする程甘かった。