チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
……………
目が覚めたら、そこは知らない場所だった。頭がズキズキ痛む。周りを見渡すと、知恵達が無造作に寝転がっていた。
「…どこよ」
冷静になろうとすればする程、頭痛は酷くなる一方だ。
「はい」
ふいに声がして振り向くと、見知らぬ男の人がいた。手には水と薬。
「…えと…」
「あぁ、覚えてないんだろうね。俺、春樹の兄。昨日夜中、いきなり君達乗り込んで来たんだよ」
あたしの手に水と薬を持たせ、春樹の兄だと言う彼はカバンを手にした。
ゆっくりと、記憶が蘇る。
昨日はあれからまた違う店で飲み直し、飲み明かした頃にはすっかり終電がなくなってしまった。
途方に暮れるあたし達。そこに春樹が、「いいとこがある」と提案してきたのだ。
そこがここ。春樹のお兄さんの部屋。
彼は一人暮らしをしているらしく、春樹は度々入り浸っていたようだ。