チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~

彼が小さく微笑んだ。

その笑顔は、あたしが求めていたものだった。


なのにどうして。


ゆっくりと、足が動く。

ふらつきながら、それでも確かに彼に近づいていた。

ゆっくりと彼が手を伸ばし、その手が宙をさ迷う。

あたしはそこで、本当に確信したんだ。

同時に、熱いものが涙となって頬を伝う。


「…マモル…」


あたしは彼の手を取った。
その手は暖かくて、手のひらが暖かい人は心が冷たいなんて、絶対嘘だと思った。


「…ごめんね、チェリ」


神様。

神様はどうして?




「俺、チェリの顔、見えないや」




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