チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
「…ねぇマモル」

でもきっと、一人で強い人なんてどこにもいなくて。

「いいよ、利用して」

あたしはいつも、大切な人に支えられてきた。
それをずっと当たり前だと思ってたけど、でもそれは全然当たり前なんかじゃない。

「マモルになら、利用されても構わない」

マモルだってほんとは弱くて。
弱くて、傷つけて、傷ついてきたんだ。

宮川さんの言葉を思い出す。

『傷ついたらその分強くなれるし、傷つけたらその分、優しくなれる』

今その本当の意味を知った気がした。

驚いたマモルがあたしに顔を向けた。

あたしもその目を見つめる。

マモルの瞳に、あたしが見えた。

大丈夫、届いてる。

「…あたしはいつも、マモルの味方だから」

思ったんだ。

この人を、この優しくて強くて、そして弱いこの人を、守りたいって。

初めてわかった。

今までしてもらいたいばかりで、してあげたいことなんか何も思い付かなかったけど、こうして向き合えたからわかった。


この人を、救いたい。

少しでもいいから、光を見せたい。
< 202 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop