チェリー～君が呼ぶ、あたしの名前～

マモルの瞳が、一瞬揺れた。
あたしは思わずマモルを抱き締める。

泣いてもいいよ。マモルが言ってくれた言葉を、今、あなたに言いたい。

「…マモル、会いに行こう？」
「…え？」
「宮川さん…咲羅さんに会おう？会って、ちゃんと話そう？」

抱き合っているから、マモルの顔はわからない。
戸惑ってるかもしれないし、多分、そうだと思う。

それでも今、あたし達は進まなきゃいけない。

「咲羅さん、言ってたよ。会えてよかったって。好きになったこと、後悔なんかしてないって。…幸せだったって」

…幸せだった。

間違いだったかもしれない。
いけない事だったかもしれない。

それでもあたしは、佐倉さんに会えてよかった。
間違ってても、あたしなりに愛してた。

今はやっぱりどうしようもなく苦しくて、きっと涙の方が多いけど。それでもいつか、笑って言える。


あなたを愛して、よかったと。


それを言えた時、あたしはきっと、ひとつ大人になるんだと思う。

大丈夫。好きになった事を後悔しない、自信はあるから。


…マモルもそうでしょ？

間違えたかもしれないけど、それでも、咲羅さんを愛してよかったでしょ？