チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
…街を歩くにつれて、罪悪感は増していくばかりだった。
あの声。
酔っていたにも関わらず、あの真剣な声がしっかりと頭に残ってる。
「ヤバいよなぁ…」
なんだかあんまり他人事に思えなかった。
もしかしたらのっぴきらない理由があって、今日の11時が最初で最後の告白だったのかもしれない。
彼は伝わってないとも知らずに公園で待っていて、"サクラ"さんも知らずにどこか違う場所で…。
立ち止まって携帯を取り出す。
二件の着信履歴。それを見つめて、決心した。
もう間に合わないかもしれない。でも、もしかしたら間に合うかもしれない。
せめて、間違いだったことを伝えなきゃ。
あたしは大きく息をはいて、通話ボタンを押した。