チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
ベッドの上で携帯が震えた。
思わず顔を上げて、画面を見る。
『着信:マモル』
…マモルだ。
すうっと、息ができた。ゆっくりと、気持ちが落ち着く。
あたしは落ち着いた指で、通話ボタンを押した。
『チェリ?』
「…マモル?」
『多分起きてるだろうと思って。今日昼まで寝てたから、寝れないんじゃない?』
優しいマモルの声。いつもは安定剤のその声が、今日はあたしの涙腺を刺激した。
『…チェリ?』
声を殺して泣いてるつもりでも、マモルには気付かれてしまう。
いつもに増して優しい声で、『どうした?』と呟いた。
どうしよう。涙が止まらない。
「…たし…っ、」
『うん』
「あたし…マモルの思ってる様な…人じゃ、ない」
しゃくり上げながら、呟いた。マモルは黙って聞いてくれてる。
「あたし…ホントは、凄い、汚くて…身体も、こ、心も、汚くて…っ。ホントはマモルが、幻滅する様な…そんな、人なの…」
自分でも何を言ってるのかよくわからなかった。
こんなこといきなり言われて、マモルも絶対困ってる。