チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~

……………

彼、佐倉恭平と出会ったのは今から半年前くらいだった。まだ若干暑い、夏と秋の間くらい。

学校帰りにいつもの様に遊び歩き、いつもの店でご飯を食べた。

「ここあたしが払うよ」
「まじー?亜弥の奢り?」
「その代わり明日の店は知恵達だからね~」

「やったねっ」とはしゃぎながら、知恵達は先に店を出た。丁度バイト代も出たとこだったし、財布に余裕はあるはずだ。

なのに、レジに打ち出された金額と財布を見比べて、あたしは愕然とした。

「うそ、なんで?」

意味もなくカバンを漁る。給与袋は見当たらない。

冷静になれない頭の中で、家を出る時に給料丸ごと机の上に置き忘れてきたことに気付いた。

それがなかったら、こんな金額払えない。不審な目を向ける店員。益々焦る。

ヤバい、どうしよう。

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