チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
「…昨日マモルは、この事を伝えたくて電話したの?」
あたしの質問に、マモルは小さく笑った。あたしも同じように笑い、そして、言った。
「ありがとう、マモル。最高の誕生日プレゼントだよ」
…昨日の丘に戻ると、佐倉さんの車がそのままあった。
あたしは驚いたけど、でも同時に安心する。
窓から覗くと、運転席で佐倉さんが寝てた。腕を組んで、少し頭を垂らして。
愛しさで胸がいっぱいになる。
無駄だと思ってドアを開けるが、それはあまりにもあっさり開いた。
驚きと同時に、佐倉さんが開けておいてくれたのだと思った。
多分、あたしが帰ってくると思って。
「…帰ってこなかったらどうするつもりだったの?」
助手席に横を向いて座り、佐倉さんに話しかける。眠った佐倉さんは、微動だにしない。
「鍵もかけないで…無防備すぎだよ、バカ」
そっと髪を撫でた。佐倉さんの寝顔を見るのは初めてだ。
愛しくて、切なくて、あたしは小さく頬にキスをする。