女装系男子。
…この声、さっきの…
「ねぇ、和華さん、一時間目休みトイレにいたよね?」
「っ!」
見られてたんだ…!
「大丈夫、何もしないから、正直に言って」
「い…いまひは…」
いました、と言ったのがわかったらしく手を離してくれた
それでも両手は握られ、逃げるのは無理そうだった
「絶対、誰にも言わない?…てか、状況理解してる?」
「えっと…若林瑞希さんは男なんですか?」
「そう思う?」
中性的な声、綺麗な風貌…端から見たら完全に女子だ
けど、口を押さえられた時の力とこの手を握る力は女子ではない
「男なんですね…?」
「うん、」
若林瑞希は冷たく笑っていた
「何で女子高に…」
「仕事だから」
そう言うと若林瑞希は壁に私を追いやり顔を近付けてきた
「誰にも言わないって約束できる?」
「…は…はい」
綺麗な目に見詰められ、何故か緊張した
「言ったら、どうなるかわかってる?」
若林瑞希は私の耳を軽く噛んだ
「いっ…」
「じゃあ、また教室でね?」