【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
一瞬だけ、氷室部長の顔が
引き攣ったような気がした。
しかし、すぐに
「…そうか。職場に戻るところを
悪かったね。
野村さんはもう戻った方がいい。
柴田も外回りご苦労様。
デスクに戻れ。」
と、私達の横をすり抜けると
オフィスへと戻っていった。
氷室部長のスーツから
シトラス系のコロンが
ふんわりと心地よく香った。
やっぱりカッコイイなあ…。
そう思いながらその姿を見送ると
「…私もそろそろ戻ります。
柴田主任、ありがとうございました。」
と一礼した。
「…いや、いいよ。
戻ったら麻美に
『今夜メールか電話するって。』
だけ伝えといて。
じゃあね、うーちゃん。」
そう言って柴田主任も
手をヒラヒラとさせながら
オフィスへと戻っていった。
私も向きを変えると
改めてエレベーターへ向かい
乗り込むと
自販機のある階のボタンを押した。