【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
リビングに戻ると

氷室部長はキッチンにいた。

「…氷室部長。
シャワーありがとうございました。」

私はペコリと頭を下げた。

「…ああ。もういいのか?
あったまったか?」

いつの間にかスーツから

セーターとジーンズ姿に着替えて

何かを作っていた氷室部長は

私をジッと見て

「…野村さんは化粧してない素顔も
可愛いんだな。」

と言って口角を上げた。

「…なっ…!!」

可愛い!?

氷室部長にそんな事を言われたのは

初めてだし

ノーメイクになっていた事に気づき

無防備になった自分が恥ずかしくて

紅くなって俯いてしまった。

すると

「.…ハハッ。
そんな紅くなるなよ。
だけど、さっきより顔色良くなったな。もう出来るから
そこのテーブルに座って待ってろ。』

と、氷室部長は顎でテーブルを指した。

「…はい、すいません。」

部屋の隅にバッグを置いて

私はリビングを見渡した。

本当に広いリビング。

ホテルの一室にいるようで

清潔感がある。

満君のマンションも広いけど

部長クラスになると

お給料も違うから

住む場所も凄いんだなぁ…。

このマンションは平社員の私には

到底払えなさそうな家賃だと思う。


あっ…。

満君を思い出しちゃった。

携帯を見ていないけど

私を探してるのかな…。

まだ、電話してきてるのかな…。


すると

「…野村さん?どうした?
出来たぞ…早く座れよ。」

と、パスタが盛られたお皿を

テーブルに置いた氷室部長が

私を見ていた。

…いけない。ボーッとしちゃった。

「…あっ、すいません。」

慌てて言われた通りに

私は椅子に座った。


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