【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

それくらい本当に

氷室部長はかっこよかった。

私を見下ろすその瞳に

胸がドキドキした。

私が憧れている男性(ひと)。

尊敬もしてる。

入社してからずっと…。

営業部へ行く度に

あの端正な顔に

あの声にもドキドキする。

私のココロに“ポッ”と

ピンクの花がたくさん咲く。

でも…。

あのアルバイトの子以外にも

私の他にも

社内にはたくさん

氷室部長ファンはいるのはわかってる。

だから、私は

気づかれないように

そっと憧れていたつもりだった。



でも、柴田主任が言ってた。

『彼氏がいるなら、
氷室部長に本気になるな』って。

『憧れと本気は違うからね』とも。

わかってる。

ちゃんと私はわきまえてるから。



そうこうしているうちに

定時になった。

麻美先輩もすぐにバッグを持ち

オフィスを出て帰っていった。

今夜柴田主任が

先輩のアパートで夕食を食べて

そのまま泊まるとの事で

先輩は昼から乙女の顔だった。

『買い物して帰るの』って

嬉しそうな顔していた。


あんなに明らかに

彼氏が大好きって

他の人の前で言えるのって羨ましい。


私は麻美先輩みたいに

そんなふうにそんな話が出来ない。


いつか振られるんじゃないかって

素直になるのが怖くなるから。




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