【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
***

氷室部長は約束通り

私を抱く事はなかった。

一緒に並んで歯磨きをした後

手を引かれながら

私は部長の寝室に足を踏み入れた。

黒を基調とした広めのベッド。

夜景の微かな光が差し込んで

氷室部長がますます妖艶で

オトコの色気が溢れて見える。

先にベッドに入った部長は

「…羽美花、おいで…。」

と、掛布団を捲って私を誘った。

ドキドキしながら

「…はい。」

と、少しずつ近づいて

私はそっとベッドに入った。

「…あっ、あったかい。」

「…ああ、電気毛布入れたから
熱過ぎたら遠慮なく言えよ。」

そう言って氷室部長は

そっと横になった私に腕枕をすると

「…嬉しい。」

と呟きながら

私を優しく包み込むように抱き締めた。

私の胸がドキドキする。

でも、会社でいつもすれ違う度に

氷室部長から香るコロンの匂いが

私を段々と落ち着かせてくれる。

「…好きだ。」

と、部長は何度も私に囁き

額に、瞼に、頬に、鼻に、耳朶に

優しくキスを落とした。

くすぐったいような感触に

思わずクスッと笑うと

「…あっ、やっと笑ってくれたな。」

と、優しく微笑んだ部長は

“チュッ”

私の唇に優しいキスを落とした。

触れるだけのキスを何度もされ

その度に見つめ合った私達。

妖艶な瞳に見つめられると

再びドキドキがカラダに伝わる。

「…そんな緊張するな。」

そう言いながら

私の唇を深いキスで塞いだ。

「…んんっ…はぁ。」

飲み込まれてしまいそうなほど

気持ちいいキスに

私の瞼が段々下がり

ウトウトとしてきた。

「…ゆっくり寝ろ。
ずっと抱き締めて寄り添ってやるよ。」

そう言った部長の言葉を聞いて

私はゆっくりと意識を手放して

部長の腕の中で眠りについた。

















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