【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
携帯を開くと

たくさんの不在着信とメールの数。

全て満君からだった。


昨日の出来事の謝罪

直接謝りたい

連絡欲しい等の内容だった。


勿論、電話もメールも返さない。

昨夜氷室部長から

『連絡するな。』と

釘を刺されたのもあるけど

私も何も話す気にはなれない。

私は別れを告げたんだ。


満君は嘘をついてまで

私ではなく豊島さんを選んだ。

私と別れようと思ってたんだから

豊島さんこそ

満君の傍にいた私の存在が

邪魔だと思っていたのかもしれない。

寧ろ多分、私から

『別れよう。』

と、切り出した事に

内心はありがとうと

思ってるんじゃないのかな?


ふぅ……。とため息をつきながら

携帯をバッグに戻そうとした時

バッグの中に長細い紙袋が

入っていた事に気づいた。


あっ…これは。

紙袋から

ラッピングされている長細い箱を

取り出して眺めた。

クリスマスイブに渡そうと

用意しておいた

満君へのクリスマスプレゼント。

渡す事は叶わなくなった。

どうしようかな……これ。

すると

「…それは、笠置にあげるつもりだった
クリスマスプレゼントか?」

背後から低い声が聞こえた。

“ビクッ”として後ろを振り向くと

そこには

ベッドで寝ていたはずの

氷室部長が立っていた。

腕を組み、開いたドアに凭れて

横目で私を見ていた。

私を無表情で見るその瞳は

怒っているのか

まだ眠くて不機嫌なのか

理由がわからず

私の心に戸惑いが走った。


部長は私の前に座ると

「起きたら、羽美花が隣にいないから
どこに行ったのかと、ちょっと焦った。
頼むから俺の前から消えないでくれ。」

そう言って氷室部長は

私を引き寄せると

“チュッ”と触れるだけのキスをして

私の頭をポンポンと撫でると

キッチンに行って

2つのグラスとミネラルウォーターを

持って戻ってきた。















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