【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
氷室部長にそこまで懇願されると

ダメだと言えなくなる。

でも、いいのかな?

昨日までの私は

氷室部長とまさか一線を越えるなんて

思ってなかった。

そもそも

そう思う事を考えるワケがないから

戸惑っているのもある。

元彼に渡すはずだったプレゼントを

部長に渡すのは、普通は失礼な話。

でも、氷室部長は

『それでもいい。』

と言って、本当に欲しがっている。

その顔見ると、この人ならきっと

大事にしてくれそうな気もした。

だから、私は

「…そこまで言って下さるなら。」

そう言って

私はプレゼントを部長に差し出した。

「…嬉しいよ…ありがとう。」

部長はプレゼントを受け取ると

「…早速開けていい?」

と、聞いてきた。

私は「はい。」と頷いた。

包装紙を剥がして

長細い箱の蓋を部長が開けた。

「…おっ、良い柄だな。」

プレゼントはネクタイだった。

黒と白を基調とした

タータンチェック柄で

店員さんからもオススメだと言われた。

満君に似合うかなと思って

ワクワクしながら数日前に購入した。

まさかこんなカタチで

氷室部長が貰う事になるなんて

思いもよらなかった。

部長はネクタイをジッと眺めた後

「…ありがとう…。
勿論、大事にするよ。
羽美花がくれた物だからな。」

と、言って私を優しく抱き締めた。

「…本当にいいんですか?
本当は違う目的だったのに…。」

そう聞いた私に

「…いいんだよ。
このネクタイはもう俺の物だ。
俺が気に入ったんだから
羽美花は俺が着けてるのを見て
喜んでくれてればいい。
…笠置の事を考えるな。
少しずつ俺の事を考えて
俺しか見えないようにしてやるよ。」

そう言った氷室部長は

私の顎に手を添えて

軽く上に向かせると

「…好きだ。」

と、唇を塞いでキスをした。
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